Guitar

MUSICMAN EVHとAXIS EXの違い



以前アップしたAXIS EX(以下EX)と約20年持ってる本家 MUSIC MAN EVH(以下同じくEVH)を比較してみました

これは純粋に好きなギターに対して自分の応えが欲しい事が起点です

それと両モデルか片方を所有してる方やお探しの方、情報をお求の方へ向けて、参考になる内容になれば良いと思って
書かせていただきます

ではでわまず、これはただの蘊蓄です

ただのウンチクですし、変質者というかMADというか、まぁ探求者の独りよがりです

それを踏まえていただいてお読みいただければです

かなりの長文になりますんで、最後までお付き合いいただければ幸いです

改めてまして、過去にEXは数本を入れ代わり制的に持ってました

国内指定工房にてという事で様々な仕様がある事を理解して所有と放出を繰り返しました

EVHがあればEXはいらへんな〜と

本家も数本、年式やカラー、杢目の好みで所有をして現在は厳選の結果の1本を所有してます

でもやっぱサブギター的にとは違い、EXは1本持っておきたいと思う気持ちは隅っこにあるんです

やっぱいらないと思うポイントがあるのにも関わらず…

ある種の病気です

そしてある日のEVHとEXです

今回EXを購入にあたって、皆様がお書きになったブログを多く拝見させていただきました

とても参考になり、知り得なかった情報も知る事ができ感謝しております

過去に所有した物に当てはまる内容、自分が知らない内容、情報が錯綜して誤報がある事が分かりました

ここからは私の見てきたギターの個体で知り得た個人の見解です

間違った内容も含んでると思いますし、誤報があると思いますがご容赦下さい

まずは外観からといきたいんですが、内部も大きく違うので箇条書き的に比較した部分を追っていきます

人の手が携わった個体差のあるギターなので、あくまで現在私が所有している2本と過去所有した物の比較です

それではよろしくお願いいたします
どこから攻めようかと思いましたが、単純に上からいってみます

計測の為に強い味方というか便利アイテム「デジタルノ〜ギ〜ス〜」

ギターヘッド形状

ほぼほぼ同じ形状ですが間違いを探せ的に違和感を感じます

まずは写真を確認してみて下さい

EVH

EX

お分かりでしょうか?

テンションバーの両ヘッドの左右に広がるエンド部分の幅で異なった形状になってます

ヘッド部塗装

マスキング方法が違いEVHはエッジ部分まで

EXはそれを超えてサイド部分まで伸びた塗装です

ロックナットエンド部までの塗装は双方共に変わりません

EVHやAXISに限らず、杢目を活かす塗装方法は直接色をハケ等で染色して染み込ませます

塗料の種類によっては経年や環境下によって色が抜けていきます

ヘッド厚

この部分は一緒ですね

EVH

EX

チューナーペグ

EVHもEXもSchaller製ですが、これは年式違いのパーツを使用している差があります

Germanyの前にEVHはW.がありEXにはありません

東西分裂があった時期の物とそうではない時期の物です

EVHはその後93年の個体の物までW.の入ったペグチューナーを確認してます

工場の生産体制かライン生産のせいでしょうか?

EVHのペグのWが抜けた位置が空いたまま刻印された物も93年頃の物に多く使われています

94年後期と言うんでしょうか?

SロゴがブランドロゴのSchallerロゴに変わり、94〜95年のEVHやAXISへの移行期の短期間にありました

私が所有したEVHのT.Goldの良い杢目で、Eddie本人がメインで使った物に似た個体の95年製

最後の砦として所有した物には上記のSchallerロゴのペグが使用されてました

Unnamed(某P誌の広告で確認)にも使用されており、以降AXIS U.S.A.の初期物にはそのペグが使用されてます

EVH

EX

さっきの塗装の話ですが、U.S.A.製には文字が入り国内製にはそれがありません

ロックナット&テンションバー

Gotoh製の物なのでここは年式の違いによりますがほぼほぼ統一してあります

ブランドロゴ

さい先良く間違い探しになりましたがここも比較してみて下さい

EVH

EX

違いますよね?

写真の大きさや色ではなく、母体会社の字体のエッジに長さの違いがあります

ネック塗装

カタログ表記では『Hand Rubbed Gunstock Oil& Wax Blend』と書かれており

AXIS U.S.A.は『Hand Rubbed Gunstock Oil &【Special】Wax Blend』とSpecialが加わっているので、EVH同様の通称オイルフィニッシュなんやと思ってました

しかしEXの指板側にはポリウレタンで塗装してあり、EVHのネックやEXのネック裏の様に汚れていかないんです

これには違和感しか感じず、EVHを持っている手前、EXに踏め込めない気持ちがどこかにあり、同じ気持ちになられた方もおられるかと思います。

これについては以降の詳細部でご確認下さい

貼りメイプル指板

EVHの指板はトラスロッドを挿入するにあたり、1度指板とネックに切り分けて再接着します

接着面を見ても切って減った杢部で若干のズレがありますが、元々1本杢だった事が分かります

EVH


EXはネック材と指板材が違う杢を使っており、杢目の違いと接着部を見て違う事が分かります

何か同じちゃう?と思った方の為に比較箇所ではないEXのもう1枚です

フレット

フレットは両モデルともミディアムジャンボの物が使用してあります

EVHは1度擦り合わせをしたので元の高さが分かりませんが、入手時はEX同様とまでは言いませんが、高さのある同じ物だったと思います

今のフレットでは比較対象にはなりませんが一応

EVH

EX

ポジションマーク

これもEVH、EX共にほぼ同じ大きさのマークです

EVH

EX

ジョイント部

基本的に両モデル共に差異はないかと思います

しいて言うなれば、スクリュー穴以外に空いた穴が違うくらいですかね

EVH

EX

ボディ形状

ボディトップ面は特に変わりは見られません

ボディバック、EVHのボディエッジはやや丸みがあるのに対してEXは角張った形状です

EVH

EX

バインディング

単純に定規ではなくものさしで測ってみます

EVH

EX

ここにも違いがありました

EVHは約7mmに対してEXは約6mmです

ボディの厚み

ここもものさしで測ろうと思いましたが、挟み込めるのでまたまた「デジタルノ〜ギ〜ス〜」

細かい数値まで測れるので便利です

EVH

EX

個体差があるんで実寸はこうなりましたがほぼ一緒です

2019年6月21日訂正

ボディ厚みを測る際に使ったデジタルノギスを誤ったみたいで、実際の数値を計り直した画像を追加しました

実測値は上記の通りでAXIS EXもほぼ同じく4.37cmでした

重量

家庭用の体重計しかないので小数点1位までしか分かりません

個体差もあるのでこれはこの2本の重量です

EVH

EX

意外にもBaswood材のEVHの方が軽いんですね

しかし、過去に所有したEVHとEXの記憶ではEVHは軽い、EXはちょっとズッシリしてるという共通の記憶はあります

(後述有り)

Basswood材とAlder材共に加工しやすい木材という事は知ってます

シーズニングによる乾いた後の水分含有量によって重い軽いが変わりますが、基本Alder材はBasswoodより軽いはずなんですがシーズニングが足りなかったんでしょうね

ストラップピンの向き

交換してあるのでオリジナルストラップピンではありませんが、エンド部のピンは同じ方向を向いています

ボディトップ側のピンはEVHは真上を向く様になっており、EXはネック側を向く様に着けられています

EVH

EX

交換したピンを入れる時に角度をつけた様にも見えますが、オリジナルピンはデフォルトでネック向きになってます

ボディ材

EVHもEXもカタログ表記はMaple Top/Basswood Backです

しかしEXは違うんです

全てが違うという訳ではなく、EXはある期間に別の材を使用します

それはAlder材です

EX発売の初期、期間にして1年位でしょうか?

EVHの流れに準じBasswood材を使います

しかしその翌年、Alder材を使用した物が現れます

なぜか?

お気づきの方もおられるでしょう

EXシリーズの派生のAXIS EX Solid(以下EXS)が発売されるからです

EXSのボディにはカタログ上Alderと表記されました

当時はこの白のんが欲しかったんですよね

EXを制作する工房でEXSを制作した事で作業ラインを統一したと推測できます

今回入手したEXがそれにあたり、過去に所有したEXにも同じ材が使用された物があります

Basswood材には現れない節が現れているのが証拠です
この節はボディバックの塗装の上からも確認できます

EVHはBasswood材ですので節がなく杢目もほとんどありません

なんやねん!!と思いがちですが、私は当たりを引いたなと思います

個人的な好みの話ですが、Basswood材に比べAlder材の方が低域がスッキリとしてバランスが良く、サスティーンが伸びるんです

他のEXがどうなのか?

過去に所有しましたが、放出した3本の写真がありましたのでお見せいたします

既に自分の所有物ではないのでモザイク処理をしておきます

97年 Black Basswood

98年Green Alder

98年 Pink Basswood

製造日の手書き番号

EVHは製造年月日がネックには手書き、ボディにはスタンプで確認できます

EXはネックとボディ共に通し番号の様な数字が手書きしてあります

明確にいつ作られたかは読み取れません

Blackの手書き番号はネック、ボディ共にX.X.97-6となっており97年と捉えられます

ポットの番号がR13796XX、ネックプレートシリアルがA800XXなので97年で間違いないと思います

Alder材が使用されたGreenとBasswood材のPinkは、通し番号から同じ時期の物で工房も一緒かと思います

Pinkの80615-ITから98年6月15日-制作者のイニシャルと読み取れなくもありません

Greenの804XX-?OKは98年4月XX日-?OKでしょうか?

保証書にスタンプがあったんで最初のオーナーが購入した日付からして98年製作で間違いはないと思います

しかし放出したPinkだとこの理論が成り立ちません…

0302XX-Iだと奇麗に2003年2月XX日ですが、ネックプレートのシリアルがA9から始まる物でポットがR13799XXです

03年に99年のポットを使ったと言えば何の問題もありませんが、4年も差が出るかと言えば疑問です

誤差で01年のポットであればしっくりとまではいきませんが納得できます

この部分は解明しきれません…

国内指定工房

冒頭の国内指定工房の違い、工房内でも違いもあるので一概に言えない事もあります

しかし、年式違いの僅かな製作期間の物を手にしたので大きくは間違ってないと思います

トップメイプル材

では次に、トップに貼られているメイプル材を比較してみます

EVHはQuiltかFlameの1枚板(センターブックマッチ)なんで立体感があります

EXはQuiltの化粧板なんで立体感がありません

その厚みに迫ってまみます
ネックポケットでの厚みを調べてみましょう

EVHは塗装方法により、内部まで塗ってあるので正確な境界線が分かりにくいです

測れそうな位置にメジャーを置いてみると約2.5~2.7mm位という事が分かります


EXは塗装がトップ面から内部入っていないので断層がよく分かります

ん?化粧板の下にもメイプル材が…

ボディは3層になっておりメイプル材は次の通り

化粧板約1mm、メイプル材約4mm、以降Alder材

妙に明るい鳴り方をするなと思ったのはこれも関係してたんですね

ピックアップ&ピックアップキャビティ

基本的な形状はDimarzio社のピックアップを入れるので同じですが、キャビティ内部はリード線の事を考慮して底面の形が違います

ピックアップの台座も違い、EVHは無塗装(?)でEXは黒く塗った物です

EXのピックアップは私が見て来た物では全て黒で共通でした

EVH




EX


メイプル材

上記のトップの化粧板ですが、初期は基本センターブックマッチです

その後1枚板の化粧板が使用され、その後またブックマッチの個体を確認しています

初期に製作されたというHIENDGUITARSという工房の物がブックマッチに当たるんでしょう

しかし、それに該当しない1枚板の物でボディバックのキャビティにロゴの入った記事を見ました

真相は如何に?

セレクタースイッチ

どちらもミニトグルスイッチですが、EVHは入手した時点で接触不良だった為交換しました

勿論オリジナルの物はありますが、基本的に交換した物とEXの物と変わりません

これでは比較になりませんが割愛させて下さい

EVH

EX

ヴォリュームノブ

EVHを切望される方にはここは大きな分岐点になりますね

EXは基本VOLUMEノブが装備されます

EVHは洒落っ気のあるエディ理論に基づいてTONEノブ

私が入手したEXはオリジナルのTONEノブです

EVH

EX

これはある時期に新品で売られている個体(ロット単位があるのか工房によってかは不明)にTONEノブが標準装備でした

新品で買われた方はお分かりいただけると思います

EXのUSEDモノにはなぜか違う字体のTONEノブが着けられている事が多いですね

あの字体と色のノブが欲しい方に朗報!!

代理店契約をしている楽器店に申し込めば、MUSICMANのギターに取り付けられているTONEノブが入手できます!!

ヴォリュームポット

EVH、EX共にCTS製の物です

EVHは初年度なので91年製の早い時期の物


EXは97年の物

トレモロユニット

2本共にMUSICMANロゴの入ったGOTOH製(1988)が搭載してあります

EVH

EX

現行品(20th Anniversary以降)のAXIS U.S.A.ではマイナーチェンジしたユニットなので、どことなく寂しい気持ちになります

トレモロブロック

これは私のEVHが特殊なんでしょうか?
黒い物です

EXは他のEVHやEXと同じく金属むき出しの物です

ヒールカット

基本的にはボディエッジに書いた通り、EXはこの部分も角張っています

更に形が違います

EVH


EX


EVHがネックからボディへなだらかになっているの対して、EXは途中ポコッと出っ張った様になっています

この出っ張った部分が、ハイフレットの演奏性と手の肉球(?)付近に当たる違和感が…

EXを愛でてあげれない理由の1つなんですよね…

同じ思いの方もおられるかと思います

アウトプットの位置

ここはほぼ一緒です

何となく同じ位置に寄せて計測してみました

ネックプレート

EX制作時の各年代を所有した訳ではないので一概には何とも言えません

MUSICMAN人形ロゴ(Aシリアル)に初まり、A8XXXX→A9XXXXX→MUSICMANロゴ(Gシリアル)

私が所有した物は全て人形ロゴのAシリアルの物です

以上

統括(?)すると

【親戚の従兄弟みたいな感じです】

よく似てるなぁ〜と言われても親違うしみたいな?

あくまでEVHがオリジナルの本家で、EXは派生のギターで決して悪いなんて事はありません

私が所有するEXは材が違うので音のキャラクターも異なりますんで、違うギターとして扱う事ができそうです

本家のPinkを手に入れる事ができたらお別れするかもですが、ちゃんと弾いたげようと思えるギターです

あくまで個人の主観ですが、実物を見てきたので大きくは間違ってないと思います

半分以上は正解してると思いますが、この記事が何となくで教科書になって議論ができれば良いと思います

GEARページに掲載しているのでそちらもご覧ください

Musicman 1991 EVH Translucent Red

Musicman 1998 AXIS EX Translucent Pink

nagase





2件のコメント

  • asimo

    MUSICMAN EVHとAXIS EXの違いのブログ面白かったです。
    私も病気でしてEVH(Aシリアル)とAXIS EX×2本所有しております。
    実際のところ大抵弾くことが多いのはAXIS EXですが、素晴らしいギターだと思っってます。
    最近になってボディが良く鳴る気がしてお気に入りです。
    古いギターですが、大切に使っていこうと思います。

    • nagase66

      asimo様

      ご意見をいただき、ありがとうございます
      このギターは、病になる程のめり込めますね

      EVHもEXも何本も所有した結果、最後に残した物の比較でした
      楽しんでいただけ、ご感想もいただけて嬉しいです

      今後も、何かしら思いついたら書きますのでよろしくお願いします

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